2022-9-17

各種トラブル発生の原因と訪問時にできることは? 〜天井からの水漏れ〜

設備不具合の原因調査

今回は共同住宅管理における水回りトラブルのお話です。記事の中ではトラブルの原因と発生する被害、その対処法についてご説明します。トラブルが起きた場合の参考にして頂ければと思います。

入居者様から頻繁に問い合わせが来るヘルプ要請のパターンをまとめました。代表的なそれぞれのパターンにおいて、原因と対処ポイントをご説明します。これらを対処・確認の上で業者発注をすることで、よりスムーズなトラブル対処が出来ることになると考えています。

管理会社様や業者様にとっては良くあるトラブルでも、一般的な方々にとっては経験が無いものです。慌てて、「すぐ来て!今来て!!」と言われる場面も多々あります。現場で入居者様が慌てていても、以下を参考に状況確認をされてはいかがでしょうか。

  • 各種トラブル発生の原因と、訪問時にできることは? 〜天井からの水漏れ〜
  1. 上階の給水管・給湯管の劣化に伴うもの
  2. 上階で詰りがあり、排水管から溢れているもの
  3. 上階排水ホース外れにより床上に溢れさせたもの
  4. 排水管の損傷によるもの
  5. 雨漏れ
  • TreasureVit独自の物件管理
  • まとめ


各種トラブル発生の原因と、訪問時にできることは?
〜天井からの水漏れ〜


原因は複数考えられます。
 上階の給水管・給湯管の劣化に伴うもの
 上階で詰りがあり、排水管から溢れているもの
 上階排水ホース外れにより床上に溢れさせたもの
 排水管の損傷によるもの
 雨漏れ
これらをひとつずつ解説していきます。

上階の給水管・給湯管の劣化に伴うもの

給水管・給湯管は概ね長期間使用できますが、経年劣化などにより漏水し始める場合があります。症状の特徴として、ずっと漏れ続ける状態となりやすいです。常時圧力が加わっている配管の為に、損傷が起きた部位から漏れ続ける事となります。
こういった場合、まずは漏水箇所真上の部屋を訪ねて下さい。可能であれば事情をご説明頂き、上階の水道メーターを閉めて頂くことで被害進行を食い止める事が出来ます。更に下階の天井クロスが膨らんで来ている場合は、出来れば養生をした上で一か所に穴をあけ、水を抜くことをお勧めします。水を含んで膨らんでくるクロスを見ると手を出すのが怖く、「業者が到着するまで耐えてくれ!」と願う気持ちも分かりますが、天井ボードに水がしみ込みやすくなりますし、最悪の場合は水を含んで重く脆くなったボードが落下し、被害が広がります。
調査や修理は原則上下階同時訪問が望ましいです。加圧試験等で原因がすぐ特定できる場合もありますが、下階漏水箇所と状況から想定し、調査を進めていくこともあるからです。
尚、水栓等器具への接続部に使用するフレキ管のパッキン劣化でも同様な事例が見られます。この場合は漏水箇所の真上に当たる水栓付近を調査し見つかる事が多いです。



クロスとボードが水を含み、膨らんできています。


上階で詰りがあり、排水管から溢れているもの

排水詰まりにより排水管の管口などから逆流していると、その真下付近の下階天井へ漏水します。症状は上階の方が使用した後に漏水する、止まっている事もある、といった感じです。まずは上階へ訪問し、極力使用を控えて頂ける様にお願いして下さい。内装の状況によっては、前項の内容を参考にして下さい。



天井内の上階横引き管。勾配不良があり、詰まり発生。管内はこんなに汚れが溜まってしまっていました。

台所の排水管などは油汚れで詰まりやすいです。管口もシンク下の物入底板の下に隠れていることが多く、使用している住民の方自身も逆流に気づいていないケースがあります。
他にはユニットバスの床排水口が汚れており、排水時に床に水が溜まってしまう時も注意が必要です。ユニットバスは一見水漏れしづらい様に見えますが、メーカー側もあくまで通常使用を前提とした設計をしています。詰りで床に水が溜まる状態は想定していません。



上階の水漏れが、スラブコンクリートから浸み落ちてきている様子

上階排水ホース外れにより床上に溢れさせたもの

洗濯機の排水ホース外れは引っ越し直後に起こりやすいトラブルです。前入居者が洗濯排水口の部品を誤って持って行ってしまった場合に、新入居者が気づかずなんとなくホースを繋いで使用したりすると割と簡単にホースが抜けたり溢れたり、といった事が起こります。他の器具と違って洗濯機は、スイッチを入れたらその場から離れてしまう事が多いです。また排水の際は沢山の水が一気に流れ出る為に被害が大きくなる事も多いと言えます。原因箇所が明確な場合、部品の欠品を疑ってご確認ください。
他には洗面台等の下部物入れに荷物を入れた際、排水ホースを押してしまっている場合も漏水に繋がる事があります。台所排水管と同様に、洗面台も底板の下にある排水管が見えない構造となっていることが多いです。ホースを押してしまい排水管からホースが抜け、排水管の外側に水が流れ出てしまう結果となります。


排水ホースを知らず知らず押してしまい、ホースが配管から抜け出ていました。

排水管の損傷によるもの

排水管自体が破損する事はあまりありませんが、例えばトイレの床フランジ付近などはよく原因となっています。便器は着座する関係で一定の重量が床面に加わります。体重の掛け方で多少左右にも力が加わるため、古くなると便器の陶器と床側に固定されているフランジとの隙間を埋めるガスケットが痩せるケースがあります。こうなると、トイレを流す度に階下漏水を起こしたり、便器周りに水が浸み出したりすることがあります。酷い場合はフランジの損傷が起こります。
施工不良が原因の場合もあります。排水管は自然勾配で流下させるため、適正な勾配を確保しておくことが重要です。この為、ずれたりしない様にある程度しっかりと支持金具等で固定するのが望ましいです。この固定を、針金等でぐるぐると巻いて梁から吊り下げて、といった施工は時折見かけます。こういった固定方法は振動によるズレが起きたりします。結果勾配不良が発生し、汚れが溜まって詰まり、逆流が発生する、といった具合です。
これらは見える範囲では確認出来ない事が多いです。よって工事業者に委ねるのが早期解決の道筋だと思います。



勾配不良で管内に水が滞留している様子

雨漏れ

雨天時に窓枠や天井から水漏れがある、という症状です。雨天でも、大雨じゃないと漏れない、とか風雨が共に強い時だけ漏れる、といったものもあります。
原因となるのは防水層の劣化やシール部の収縮劣化が挙げられます。屋根が大きい場合はその改修工事に多額の費用が発生しますが、これを渋ると最上階の部屋を貸せる状況ではなくなってしまう事も考えられます。現にそういったマンションも見てきました。出来れば長期的な計画の元で、補修と改修を行っていくことをお勧めします。
時折、構造的な不具合が原因のものも見られます。屋根板金の合わせ方が悪かったり、水仕舞いが上手くいかず水が溜まって漏水、というものもあります。また平らな陸屋根ではルーフドレンの清掃不足で屋上がプールの様になっている場合もあります。



雨漏れで天井と壁にカビ発生。開口調査し、屋根板金の不良を発見。

TreasureVit独自の物件管理

グループウェアを用いて「データ活用」することで
1. 当該物件で過去に似た症状が出た部屋が無いか
2. 過去、どういった対処を行っているか
3. この他家主様要望や物件の状況を踏まえ対処方法を検討します。

まとめ

本記事では天井からの水漏れが発生した際に、どのように対処できるかについてお話しました。代表的なそれぞれのパターンにおいて、何をすべきか解説しましたので、よりスムーズに業者発注を行い、トラブル対処ができるかと思います。

現場で入居者様が慌てていても、落ち着いて状況を確認いただくことが重要です。

もしも共同住宅でのトラブルが発生した場合は、ぜひ一度、TreasureVitまでお問い合わせください!

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