2022-6-30
給排水設備とは?工事の内容やタイミングを解説
給排水設備工事
施工事例/給排水設備/給排水工事/給水設備/排水設備
今回は「給水工事」「排水工事」についてお話していきます。基本的な事を知りたい方や、トラブル防止対策について知りたい方は是非ご一読下さい。
これから水回り設備工事を考えている管理会社様の中で、色々とわからないことがある方は多いと思います。建物において水回りの設備工事を行うタイミングは大きく2つあります。トラブルの予防や老朽化対策の改修、または、トラブル発生に応じて実施する改修です。それらの工事がどういった背景から必要になるか、理解を深めることで、適切な工事のタイミングや内容をご判断いただけます。
そこで本記事では、給排水設備工事について徹底解説しました。
工事やメンテナンスをしないまま放置してしまうと、取り返しのつかないことになり、大規模な工事が必要になる可能性があります。
専門性の高い説明は避け、分かりやすく書いてみました。「これまで気にしていなかった!」という方は、必読の内容になっています。
目次:
- 給排水設備とは
- 給排水工事について
- 給排水工事をするタイミング
- TreasureVitの給排水工事の実施方法
- TreasureVit独自の工事方法
- まとめ
給排水設備とは?
給排水設備とは、「給水設備」と「排水設備」を合わせた言葉であり、どちらも物件価値を維持する上で重要なものです。それぞれの役割について紹介していきます。
キャビネット型の増圧直結ポンプ。最近の製品はこういった感じでかなりスマートな印象です。
給水設備について徹底解説!
給水設備は、各住戸へ水を送り届けるための設備であり、日常生活で欠かせない設備です。
実際に飲んだり、お風呂などで使用し、人々の健康にも大きく関わってくるため、正しく管理する必要があります。
給水設備は主に3種類あり、それぞれが違う役割を持っているため、以下で詳しく解説します。
・配水管(給水管・給湯管)
・貯水槽・給水ポンプ
・給湯設備
配水管
配水管は、道路の下に設置されている上水道管(水道本管)と建物内の各水栓へ水を供給するための配管の総称です。
マンションは少し仕組みが違いますが、戸建ての場合は、「上水道管(水道本管)→給水管→給水器具」の順番で給水されます。
建物内の給水管で使用されることが多い素材は、「ポリエチレン管」「塩化ビニル管」「ステンレス鋼管」などです。「ダクタイル鋳鉄管」も少数見られます。
これらの素材は、耐久性に優れているため、建物内へ水を供給する際に掛かる水圧にも耐えることができます。
給水管は水圧に耐えることができる丈夫な素材を使用していますが、経年劣化や事故等で破損してしまう可能性もあります。
貯水槽
貯水槽は、上水道から供給された水を一時的に溜めておくためのタンクであり、大型のマンションや建物などに設置されることが多いです。
一般的に使用される素材は、FRP(繊維強化プラスチック)製ですが、ステンレス製やRC製の貯水槽もあります。
また、貯水槽の中にも一階や地階に設置される受水槽と、屋上などに設置される高置水槽の2種類あるため、管理している建物の貯水槽の位置を知っているとトラブルの際役立ちます。
マンションの場合は、1日にマンション内で使用する水の40〜60%を貯水槽に貯めておくことが一般的です。
貯水槽に貯めた水は、そのまま各部屋に供給することが難しいため、給水ポンプを使用して各部屋に供給しています。
ポンプが故障してしまうと、マンションに住んでいる住民の方全員に迷惑がかかってしまうため、故障やその予兆があった場合には、すぐに修理を行うようにしましょう。
給水ポンプ
給水ポンプは、建物内へ給水する時に圧力をかけることで水を運ぶことができるポンプです。
給水ポンプの中にも、「揚水ポンプ」「加圧ポンプ」「増圧ポンプ」の3種類があり、それぞれ用途に合わせて使用します。
揚水ポンプ
揚水ポンプは、受水槽に貯めた水を高置(高架)水槽に汲み上げるためのポンプであり、高置水槽が設置されている大型マンションや、築年数が割と経過したマンション、アパートなどで使用されていることが多いです。
高置水槽に汲み上げられた水は、建物の高低差を利用して圧力を発生させ各部屋に供給しています。揚水ポンプは、高置水槽へ汲み上げる際にしか使用しません。
揚水ポンプは、高置水槽内の水が一定量よりも少なくなった場合のみ、自動的に作動する仕組みになっているため、他の給水ポンプよりも電気代を抑えることができます。またポンプ自体の寿命も他の方式と比べ長寿命となる傾向があります。
加圧ポンプ
加圧ポンプは、受水槽に溜めている水を各部屋へ供給するためのポンプであり、大規模ではない、小〜中規模程度のマンションで使用されることが多いポンプです。運転制御技術の向上で、大規模マンションでも使用されることがあります。
高置水槽を設置する必要がないため、メンテナンスコストを抑えることができます。但しポンプ自体の寿命は、揚水ポンプと比較し短めとなる傾向があります。
増圧ポンプ
増圧ポンプは、水道本管の圧力も利用して更に圧力をかけて、直接部屋に給水することができるポンプです。
受水槽や高置水槽を設置する必要がないため設備用に確保する面積が少なくなります。また各地の水道事業体(その地域の給水を取りまとめている水道局や水道企業団)の規定も改訂され、設置数が増えてきています。
メンテナンスコストを抑えられるというメリットがありますが、地域断水が起こった際に即、断水するというデメリットもあります。
給湯設備
給湯設備は、お風呂などで必須であり、加熱した温かいお湯を供給することができる設備です。
配水管である給湯管と、給湯器で構成されています。他の設備もありますが、共同住宅では主にこの構成です。
配管の素材は様々ですが、高温のお湯を供給するため、給湯設備の配管は膨張・収縮に耐えられる素材を使用しています。
排水設備について徹底解説!
排水設備とは、台所や洗面所、洗濯などで発生する生活雑排水やトイレの洗浄の際に使用される汚水を下水に流すための設備です。
排水設備も主に3種類あり、それぞれが担っている役割が違うため、以下の排水設備を詳しく解説します。
・排水管・排水桝
・排水槽・排水ポンプ
・浄化槽
排水設備が破損してしまうと、排水が溢れたり異臭の原因になったりするため、排水設備に異常を感じた場合には、原因を確認するようにしましょう。
排水管・排水桝
排水管は、生活雑排水や汚水を下水へ流すための配管であり、3種類の排水管があります。
・汚水管:トイレの洗浄水を流す
・雑排水管:台所や洗面所、洗濯などで発生する生活雑排水を流す
・雨水管:雨水を流す
排水管は土中埋設をするケースがあります。また管内のガスといった要素もあり腐食に強い素材である必要があります。そのため、「塩化ビニル管」「耐火二層管」などの配管を使用しています。
説明の関係で汚水管・雑排水管・雨水管を分けて説明しましたが、下水道や建物設備の関係で二種類以上が混ざって排水される配管も存在します。
排水槽・排水ポンプ
排水槽・排水ポンプは、建物の構造上、排水を自然勾配で下水道管や浄化槽へ流すのが難しい場合に必要になります。
排水を排水槽に溜め、排水ポンプを使用することで排水することが可能であり、排水槽は建物の地階に設置されることが多いです。
排水槽にはトイレからの排水専用の汚水槽、生活雑排水専用の雑排水槽、それらが一体となる汚雑排槽、雨水用の雨水槽、地下湧水用の湧水槽の5種類があります。
浄化槽
浄化槽は、汚水や生活雑排水を微生物を利用して浄化し、公共下水道以外に放流するための設備です。
浄化槽は下水道の敷設がされていない地域に建物ごとに設置されており、川や海に汚れた水を流さないようにすることで、自然や環境を守るという役割を持っています。
浄化槽の中には、トイレからの汚水のみを浄化する「単独処理浄化槽」、台所やお風呂などから発生する生活雑排水と汚水を合わせて浄化できる「合併処理浄化槽」の2種類があります。
平成12年の浄化槽法の改正によって、新たに設置する浄化槽は合併処理浄化槽のみになったため、単独処理浄化槽は新設で設置されることがありません。
給排水工事について徹底解説!
給排水工事は、様々な水回り工事をまとめた総称であり、キッチンやお風呂などの住宅設備、給水管、排水管、給湯設備などの工事のことです。
給排水設備工事はリフォームの際に行うこともあります。普段は目にすることがなく、見えない部分に敷設されているからこそ、リフォームの際に同時実施するのがコスト的にもお勧めです。
また、給排水設備はライフラインのキモと言えるものです。そのため大切な設備と言えます。
マンション、アパートは、オーナー様や管理会社様が実施の判断をしています。上水道も下水道も生活する上で欠かせないため、きちんとした施工が必要です。
給水管工事
給水管工事を行うきっかけは、例えばパイプシャフト内の配管漏水だったりします。殆どの場所が見えない隠蔽か所にある給水管ですが、パイプシャフトはメーター周りなど、目視可能な場所に給水管があります。更にそういった場所は口径が小さめの配管となるため管自体の厚さが薄く、腐食が進んだ場合にねじ込み部からの漏水が発生しやすいためです。
また他の原因としては、口径が小さいために錆詰まり等を起こしやすい事もあります。給水量が思うように確保できない場合はそれらを疑う事も必要です。
給湯管工事
給湯管工事は、給水管工事よりも発生率が高いと言えます。理由は色々ありますが、給水管に比べ温度の変動が大きい事が最大の理由です。給湯管は使用時40℃前後となりますが、それ以外は室温かそれ以下になっています。温度差が給水管に比べ大きく、その点が給水管よりも過酷な状態と言えます。最近の新築では使用していませんが、以前は様々な理由で銅管を使用していました。銅管の継手(特に90°に曲げるための部材)はその製造方法から、漏水を起こしやすい場所です。
給水引込管工事
給水引込管工事は、道路の下に設置されている水道本管から建物の敷地内に給水管を引き込む、建物で使用する水道の始まり部分の工事です。
新築時に行われることが多い工事ですが、給水設備を改修する際や、安全な素材に変更する際にも行われることがあります。
給水引込管工事は、公道を掘削し本管を施工する工事であるため、指定工事店でなければ施工は出来ません。
排水管工事
排水管工事は、詰りや勾配不良などが理由で施工を行います。高圧洗浄機などによる詰り除去やファイバースコープによる内部点検、引き替えによる勾配不良の是正工事などがあります。
例えば、特定の部屋や排水口が度々詰まる、となればメイン管への合流手前までの部分が設備不良となっている事が疑われます。その場合はそれまでの経緯も聞き取りし、調査or施工の何れが適切か判断します。
複数世帯での排水不良や共用部の桝から汚水が溢れたりしている場合は、共用桝や屋外横引き管の不良が疑われます。
室内給水・給湯管工事(屋内配管工事)
室内給水・給湯管工事(屋内配管工事)は、水道メーターからキッチンやお風呂などの水回りの設備に繋がる配管を対象とする工事です。
新築の家を建てる際にも行われますが、水回りに関するリフォームを行った際や老朽化による漏水が起きた時などに必要になります。
下水道接続工事
別名、切替工事といいます。浄化槽を使用しないと排水出来なかった地域に下水道が敷設された際、行う工事です。一般的には浄化槽を引き抜き、消毒・解体を実施。敷地内の汚水・雑排水管の必要箇所を新規敷設し、公道から私有地の土中に伸びている接続管に接続します。以後の排水は、下水道管を流下し下水処理場で浄化されます。
下水道には、汚水・雑排水のみを流入させる事が出来る「分流式」、更に雨水も流入させる「合流式」があります。施工は指定工事店が実施します。
合流式は雨水管と汚雑排水管を一本にまとめる事が出来る半面、大雨の際など一定の流入量を超えてしまうと処理しきれなかった汚水が川や海に放流されてしまいます。一時的な水質汚染につながってしまうことがあります。
分流式は汚水用排水管と雨水用排水管を設置し、汚水は下水処理施設、雨水は川や海に放流するという方式です。コストは増えますが、衛生面や環境面に優しいです。
屋内排水管工事
屋内排水管工事は、家の中で発生した汚水や生活雑排水などを家の外に排水するための配管を対象とする工事です。
屋内排水管工事は、詰りが発生した場合に行う詰り除去工事や、室内設備追加に伴う配管増設工事、勾配不良を解消するための引替工事などがあります。
排水管は床板とその下の躯体の間に設置する「転がし配管」と、下階天井とその上の躯体の間に設置する「天井配管」の2種類があります。
殆どの排水管は見えない場所にあるため、メンテナンスに一定の知識が必要です。
屋外排水管工事
屋外排水管工事は、家の外から下水処理場や川などに排水するための配管を設置する工事です。
屋外排水管の中にも、「汚水排水管」「雨水排水管」「雑排水管」の3種類があり、また「合流式」と「分流式」のどちらかの方法で排水されます。
しかしながら、地域によってその排水方式は決められていますので施工時はその点への配慮が必須です。
給水ポンプの点検作業中
給排水工事をするタイミングについて徹底解説!
給排水工事は様々なタイミングで行われます。以下で、それらのタイミングを紹介します。
給水管・給湯管工事
漏水が発見された時や、老朽化が見られた時に行います。工事内容も、部分的な交換工事から全体の引替工事まで様々です。
点検口を開けたらパッキン不良でフレキ管から漏水、というのが最も安価に済んだパターンです。しかしなかなかそうもいかない事が多く見られます。都合よく点検口から見えるところは配管全体からすればごく一部なのです。もし目視不能な隠蔽か所での漏水の場合、床や壁を開口するか、全体を新規配管に引き替える事となります。
どの方法をとるかはオーナー様の意見、建物の築年数や漏水状況、家賃、など各要素を複合的に考えて実施します。
排水管工事
詰りや、排水不良が頻発する場合に行います。排水管は通常使用をしていても、内部に汚れが付着します。これが酷くなると配管を閉塞させます。また、例えば箸などの異物が管内に落下し詰りの原因となる場合もあります。
詰りの場合は詰り除去作業を行います。頻発する場合は原因調査を実施後、改善提案を行います。
他には排水時の異音や臭気の発生などが理由で工事を実施する場合もあります。
共同住宅は構造上、一戸建てより排水管勾配や口径を確保しづらい場合があります。それらが理由でトラブルに繋がっているケースもあります。
また最近では少ないですが、古い建物では鉄管を排水管として使用しており、内部の錆膨れが詰りの原因になっている事もあります。
水の色が普段と違う時
水を出したときに赤色っぽい水になっている場合には、給水管内の発錆が疑われます。古い給水管は内部の水と接する部分も鉄管で、内部の錆が水中に溶け込み、赤い色となります。
長期間空室だった部屋で久しぶりに通水するときや、給水管工事等で管内に空気が混ざった場合などが比較的見つけやすいタイミングです。
状況次第ですが、出来れば給水管の引替え工事等をお勧めします。
排水が流れない場合
排水が流れない場合には、排水管が破損、もしくは異物等で詰まっている事が考えられます。まずは詰り除去作業を実施します。トーラーというグルグル回るワイヤー状のものを挿し込んだり、高圧洗浄機という水の力で管内を推進し汚れを剥がす機械を使用します。それでもダメな場合はファイバースコープ関連の写真を送ります。を挿入し原因を探ったりします。
最悪の場合は排水管の引き直し等が必要となります。
天井から水漏れがある場合
多くは上階が原因です。上階の給水管・給湯管のトラブルで水漏れしていたり、排水管が詰まって溢れていたりするのが原因です。
まずは原因を究明します。給水・給湯管が原因の場合は加圧試験と言って、配管に圧力を掛けて圧力変化で確認する方法が一般的です。その結果で問題が無ければ、排水詰りを含めたその他の部分の確認をしていきます。
給水ポンプから異音・警報音がある場合
給水ポンプから異音がする場合は特に注意が必要です。多くの場合給水ポンプは、その建物の大部分に水を供給しています。故障すると、全戸に影響が及ぶ可能性があります。初期は異音や警報音は一時的なもので済んでしまったりします。出来ればこの段階で、現地調査依頼をすべきです。
給水ポンプは工業製品ですからモデルチェンジが行われています。よく相談を受けるのですが、古い型の製品は部品交換等の修理より一式交換をお勧めしています。ここの見極めは非常に大切です。
またポンプ本体ではなく付帯設備の配管やバルブ類が原因の事もあります。いずれにしても、定期的な機器点検は重要です。
TreasureVitの給排水工事の実施方法
施工に至るまで
1. 不具合の内容や状況をご連絡ください
2. 原因調査を実施いたします→この調査が出来ない業者様もいらっしゃいますが、TreasureVitではここを重視。これにより、無駄な工事を省くことができます。
2-1調査工事用のご提案&見積もり(内容によっては有償の調査もあるのでご相談ください)※内容により無償のものもあります。
2-2同上費用の了承
2-3調査工事実施
3. 本工事ご提案&見積もり
4. 施工実施
5. 竣工
6. 結果報告(必要に応じ写真をメール)
TreasureVit独自の工事管理方法
グループウェアを用いて「データ活用」することで下記のメリットがあります。
1. お客様・当該物件の過去施工履歴
2. 打ち合わせ内容の入力。確実な引き継ぎ。
3.進捗状況の管理。漏れを防ぐ。
まとめ
本記事では、給排水工事についての解説や給排水設備工事をするタイミングなどについて徹底解説しました。
給排水設備工事は、トラブル発生後に依頼されることも多いですが出来れば定期的な点検・メンテナンスをお勧めします。何も異常がないという物件でも、気にかけるようにして頂きたいです。
異常が起こってから工事をすると、工事代も高くなりますし、場合によっては内装補修など、原因設備以外の施工が必要となってしまいます。事故を未然に防ぐという意識を持つことが出費を抑えるコツだと感じます。
そのため、給排水設備工事やメンテナンスは、適切なタイミングで適切な業者に依頼するのが重要です。
ぜひ一度、TreasureVitまでお問い合わせください!